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  • 執筆者の写真Lina

パリ旅行をもっと楽しむために出発前に知っておくべきフランス文化の3つのこと

更新日:2023年8月30日

フランスと日本の文化には共通点が多くありますが、顧客とサービス提供者の関係については、両者の文化がまったく正反対である分野のひとつです。パリで最高の旅をするためのパリ出身の筆者からのアドバイスをお読みください!

パリのガルニエオペラ座から見える景色


パリは世界で最も人気のある観光地のひとつであるにもかかわらず、接客に関してはかなり評判が悪いのです!

この美しい街の郊外で生まれ育った者として、私は主に3つの要因があると考えています。第一に、パリは国際的な大都市であり、人々はストレスを感じやすく、忍耐力に欠けている傾向にあります。第二に、フランスの文化では、接客は一般的に標準化されていません。第三に、このような悪い経験の多くは、文化的な誤解に起因していると私は考えていますなぜなら、フランス文化はパーソナルスペースを非常に重視し、このスペースへの侵入は非常に失礼とみなされるためです

私はパリで、会計のためにカウンターに行ったら、それが気に障ったビストロの店員から「ここはアメリカじゃない!スターバックスにいると思ったのか?アメリカのチェーン店が地元の店を潰しているんだ」と怒鳴られたことがあります。反対にこの街で素晴らしい経験をしたこともあります。例えば、ウェイターやレジ係と涙を流して笑ったり、薬局の店員から「コーヒーを淹れているんだけど、飲む?」とコーヒーを勧めてもらったりしました。しかし、このように素敵な経験をするには、まずフランス文化の基本を理解し、これらの原則に従って現地の人々と交流してみることが必要です

それでは、フランスの接客が日本で私たちが慣れ親しんでいるものと決定的に異なる点を探ってみましょう




パリへ旅行する前知るべきのことその1:フランス文化には、「建前」がない

パレガルニエのボールルームの天井

フランスの文化や言語には、本音と建前の区別がありません。もちろん、人間である以上、人生の大半は人間社会を構成する複雑な社会的ネットワークで過ごさなければないため、フランス人も結果を気にせず思ったことを何でも口にするわけではありません。実際、フランス人は子供の頃、「話す前に舌を口の中で7回回す」(「駟も舌に及ばず」と同じような意味のフランスのことわざ)ように教えられています。自分の考えを口に出して表現する前に、まずその考えと、それが及ぼす可能性のある影響を十分に考慮すべきであると言う意味です。例えば、社内の人間関係や恋愛関係など、特定の人間関係においては、否定的な意見を述べることを嫌がります。

また、フランス人は批判を直接表現するコミュニケーションスタイルを持っています。学校では、子どもの頃から長いエッセイを書かされ、議論したり、相手の考えに反論したり、批判したりします。フランスでは討論の長い伝統があり、討論は進歩のために必要なステップとみなされています。つまり、ある状況を批判することが、その状況を改善するための第一歩だと考えられているのです。


その結果、何か否定的なことがあれば(もちろん熟慮した後に)、フランスの基準では、それは相手に伝えるべきことになります。例えば、電車の中で誰かが騒ぎすぎていると、他の通勤客はその人にもっと静かにするように伝えます。レジで時間がかかりすぎて他のお客さんを待たせている人がいれば、他のお客さんがその人に直接不満を伝えたり、うまくいけば助けてくれるかもしれません。

否定的であっても建設的な意見を言うべきだというのがフランスのスタンダードだとすれば、否定的な意見を言わないことは大顰蹙を買うということになります。例えば、フランス人の友人がパイを焼いて、あなたがそれをかなりまずいと感じたにもかかわらず、それを好きだと言った場合、これは大きな裏切り行為とみなされるでしょう。その後、あなたが本当はそのパイを気に入らなかったと知ったら、その友人はあなたを信用できない人という認識するかもしれません。

また、同僚の態度に不満があったのにも関わらず、最初に同僚に直接話すことなく上司に伝えることを選んだ場合、これは非常に卑劣で卑怯な行為とみなされるでしょう。同僚は、あなたが自分に不満を持っていることを第三者から聞かされたら、深く裏切られたと感じるかもしれません


その結果、日本人から見ると、フランス文化はかなり自身の当たり前と正反対なものになります

パリに滞在しているときは、たとえそれが否定的な意見であったとしても、人々が常にお互いにフィードバックを与え合う環境だということを理解してください。そして、それが普通のことだと思われているため、日本人が否定的だと感じるやりとりでも気に留めません。それゆえ、あなたが何か奇妙なことをしていたり、彼らから見て正しくないことをしていることに誰かが気づけば、たとえ見知らぬ人であっても、面と向かってそれを教えてくれるでしょう。慣れていないとその率直な発言に驚くかもしれませんが、ほとんどの場合、このやりとりの目的はあなたを怒らせることではなく、その人が重要だと考えるフィードバックをあなたに伝えることなのです。そのため、もしパリにいる人があなたに突然何かを伝えてきたら、ためらわずに 「なぜですか、理解できません(Oh, okay, thank you. And why is that? Sorry, I'm not from here; I don't understand.)」と聞いてみましょう。




パリへ旅行する前知るべきのことその2:フランス文化には、「お客様ファースト」がない

パリ都内にあるルーブル美術館

日本に来て6年以上経ちますが、正しいやり方だとわかっていても、いまだにできないことのひとつが、ウェイターを呼ぶときに 「すみません」と言うことです。それだけでなく、レストランの店員さんと話すときに、敬語を使わないようにするのはとても難しいです。

例えば、先日レストランに行ったとき、隣のテーブルに座っていた男性が店員に向かって「すみません!」と元気よく叫びました。日本では普通のことだと理解していますが、その場では「なんて失礼な客なんだ!」と反射的に感じてしまいました。しかし、その自分のフランス人としての反応を客観的に捉え、ふと我に返りました。


この「すみません」という習慣は、上下関係のないフランス的な客と店員の関係とは正反対なものです。例えば、パリでランチを食べにレストランに行くと、ウェイターと客であるあなたとのやりとりは、ひとりの人間ともうひとりの人間とのやりとりとして感じられます。一人は働いており、明らかに忙しそうです。もう一人は昼休みで、食事が必要です。この相互作用は、一方の人間が食事とサービスをお金と交換するというものです。それを除けば、その交換を支配する義務やルールはありません

従って、ウェイターの仕事を中断して大声で「すみません!」と言うことは、非常に失礼なこととみなされます。そして、上記でお伝えしたように、フランスの文化には建前がないため、ウェイターはあなたが彼らを無礼に扱ったことを周りに告げたり、見せたりして、彼らから悪いサービスを受けることになります

実は、パリのレストランでウェイターを呼ぶのは微妙な問題です。相手がこちらを向いていて、手が空いているように見えたら、申し訳なさそうに、目を合わせて微笑みながら「Pardon, Monsieur! 」や「Monsieur!」と声をかけます。個人的には、相手の注意を引くために開いた手も挙げます。こうすることで余計なトラブルを防ぐことができます。

まとめると、フランスの文化には建前がなく、顧客とスタッフの関係はよりサービスと代金の交換だと捉えられているため、たとえ顧客であっても、彼らがあなたに対してそうであるべきであるように、あなたも彼らに対して愛想がよくなければならないということなのです


​​例えば、ウェイターがイライラしているように見えたり、そっけない態度をとったりすることがあります。なぜ、接客するスタッフに常に笑顔で接客することを求めないのでしょうか?それは、フランスの基準では、これは "偽り "を助長していると見なされるためです。そのため、パリでは実にさまざまな接客を受けることになりますつまり、フランス文化では接客は標準化されていないのです

このように接客にばらつきがあるからこそ、フランスのラグジュアリーは、お客様に媚びることはないけれど、、非の打ちどころのないサービスが特徴なのです。4つ星ホテルに泊まったり、ミシュランの星付きレストランで食事をしたりすれば、必ず日本レベルのサービスを受けることができます。それは、フランス人が高級サービスを購入する際にお金を払うものが、①職人のスキルと ②接客サービスだと考えているためです。



パリへ旅行する前知るべきのことその3:フランス文化では、いつもBonjourで会話を始める

パリ都内、パレガルニエの周りにあるオペラ大通り


個人のプライバシーとパーソナルスペースを重視するフランス文化の、もうひとつの特異な側面がこちらです「Bonjour!」と挨拶せずに相手の邪魔をするのは、一般的に失礼とされています

東京でお店に入ると、ドアをくぐるやいなや、「いらっしゃいませ!」と温かく迎えてくれます。彼らはお客さまであるあなたを自分たちの空間で歓迎してくれているのです。残念ながら、フランスの店ではこれは期待できません......!

フランスの考え方では、店員と客の間に上下関係がないことを忘れてはなりません。したがって、その考え方では、あなたがお店に入るとき、あなたは彼らの空間に「勝手に入って」いることになります。何かが必要だから来たのです。この状況にルールはありません。

店員が 「Bonjour!」と挨拶してくれることもあります。忙しいと挨拶しないこともあります。後者の場合で、あなたが商品を見ていて質問があるとします。近くに店員がいて、声をかけたとしましょう。「これはいくらですか」などと直接質問するのでしょうか?実は、これはあまり礼儀正しいとは言えません


パリは多くの観光客を受け入れているため、パリジャンは異文化コミュニケーションの経験が豊富です。しかし、店員はあなたが少し失礼だと感じるかもしれません。というのも、フランスの子供たちは会話をする前に必ず挨拶をするように教育されているためです。そのため、パリではどんな会話の前にも、まず 「Bonjour!」と挨拶しましょう。その後に質問や会話を始めるのです。

「Bonjour!」から始めないとフランス人が失礼に感じるのは、フランス文化ではパーソナルスペースが神聖視されているからです。そのため、最初に「ドアをノックする」ことなくパーソナルスペースに侵入することは、相手に対する無礼の印とみなされるのです。これはあなたがお客さんの立場である場合でも当てはまります。あなたがレストランにいて、料理を注文するためにウェイターを呼んだとき、そのウェイターと以前に接したことがなければ、まず「Bonjour!」と言うべきです。それから注文しましょう。


これらの知識を頭に入れておけば、パリの環境をよりよく理解することができ、より満足のいく形で満喫することができると思います。もちろん、不愉快な交流の可能性を全て排除するものではありません。それはどんな旅行でも起こりえるリスクですが、通常はネガティブよりポジティブに捉えられる経験の方がはるかに多いのです。私の故郷、パリへの旅が素晴らしいものになりますように

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